−fraise−

fraiseはフランス語で「いちご」。いちごケーキのような甘酸っぱい恋愛話で至福のひとときを。

それぞれを切り取れば、まるでコミックの世界

      2017/12/03

高校生の頃、30分にに一本しかない電車を乗り継いで約2時間の通学生活を送っていました。

同級生の殆どは、自転車や徒歩で行ける近距離通学でしたので、朝晩の電車の中はほぼ読書タイムという感じで過ごしていました。

途中の駅から乗り込んでくる学生の団体も、少しばかり車内を賑やかにした後、私よりも先に降りていってしまいます。

降車側と反対のドアに身を寄せて文庫本を読んでいると、黒っぽい人影とドサッと頭越しに網棚に荷物を置く音がしました。

車内はそんなに混んでいないのに、わざわざこんな隅にやってくる人影に少し恐怖を覚え、ちょうど男子校の生徒が乗り降りする駅だったので体を硬くして今まで以上に必死に白い紙の上の文字列を追いけることに集中しようとしていた時です。

頭上から懐かしい言葉が聞こえてきました。

「〇〇ちゃん?」

それは、中学時代に友達から呼ばれていたアダナで、今の私をその名で呼ぶ人は周りには誰も居ませんでした。

視線の先には学生服。

聞き覚えのない声と学生服ということに、私の恐怖はまだ収まりません。

どうして、私の昔のアダナを知っているのか・・・

そんなこちらの恐怖を感じ取ったのか、それとも自分のしていることに不信感を抱かれていると思ったのか次に聞こえてきた言葉は「俺だよ」。

高校では比較的おとなしい部類に入る私に声を掛けてくるような男友達は殆どいませんし、ほぼ2年乗り続けているこの路線で知り合ったなんて言う友達もいません。

そう、よく言えば私は一人が似合う女子高生だったんです。

オレ?
オレって誰?

頭一つ分大きい彼は、中学時代によく遊んだ男の子でした。
固まっていた私の顔がみるみる緩んで行ったのでしょうね。

彼は今まで何度か見掛けていたこと、確信がなかったから声を掛けなかったことなど、笑いながら話してくれました。

声変わりした?
背が伸びた?
髭濃くなった?

などなど、中学生の面影は見る影もないほど、高校男子になっている彼を見て、ほんの数年前の懐かしい出来事が一基に蘇ってきました。

遊園地に行ったり映画を見に行くなんていうこともなく、ただ一緒に帰ったり、お昼を一緒に食べたり、まるでおままごとみたいな交際をしていた中学生の彼と私。
お互いの進学先が違ったことが決定的となって連絡を取らなくなって・・・。

その後も、何度か通学電車で一緒になることがあり、買ったばかりだと言うバイクの後ろに乗せてくれる約束をしました。

でも、結局はまた進路の違いということもあって、その後数回遊んだだけで終ってしまいましたが。

自分たちではどうしようもないことで離れることになった原因の恋は、何時までも綺麗なままで心に残るんだと。

電車での再開、成長した彼の姿、バイクの後部座席。

実際にあったことなのに、一つずつは、まるで流行のコミックが学園ドラマのワンシーンのようで、今でも時折り思い出して軽く胸がキュンとなります。

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