−fraise−

fraiseはフランス語で「いちご」。いちごケーキのような甘酸っぱい恋愛話で至福のひとときを。

彼のノートのクセのある優しい字が好きだった

   

高校3年生の時のことです。私は隣のクラスの男子に片思いをしていました。

廊下を通るたびに彼が見えたら嬉しいなとドキドキしていたものです。

 

私が彼を好きになったのは同じクラスだった1年生の秋でした。

私が所属する吹奏楽部のコンクールで休んだ次の日、受けていない分の授業のノートをどうしようか困っていると隣の席だった彼がスッとノートをさしだしてくれたのでした。

 

彼は左利きでちょっとだけクセのある字なのですが、写しているととても丁寧に書かれていることがわかりました。
彼は目立つタイプではありませんでしたが優しく紳士的な人でした。

ノートを写し終わって渡すと彼がちょっと照れたように受け取ったその表情にドキリとして、私は彼のことが好きになっていました。

 

それから3年生になるまで片思いを続けていたのです。

 

私は吹奏楽だったので運動部より遅く引退をしました。大学進学を目指していたため遅れた勉強を取り戻そうと放課後に教室に残って勉強を始めることにしました。
同じように教室には2、3人が残って勉強をしていました。両隣の教室からも椅子をひく音などが聞こえてきて勉強をしている人がいることがわかります。

 

勉強の途中でトイレに行こうと廊下へ出て隣の教室の前を通った時、勉強していたのは片思い中の彼だったことに気がつきました。
私は教室に戻って勉強を再開しましたが、カタンという椅子の音がするたびに彼を感じてドキドキしていました。

 

それから毎日残って勉強を続けました。そして彼もよく残って勉強していました。

 

そんなある日のこと、いつものように残って勉強をしていると日直の先生がやってきました。「もう学校を閉めるから帰りなさい」と言われ慌てて帰り支度をしていると、隣の教室からも「もう帰りなさい」と先生の声がしました。

まさかと思いながら教室を出ると彼も同じタイミングで出てきました。さすがに時間も遅く他には誰もいません。

二人きりになって久しぶりに彼とどこの大学に行くのか、将来どんな仕事に就きたいのかなどたわいもない話をして歩いていたらあっという間に校門まで来てしまいました。

 

その時に彼からずっと好きだったと告白されました。

 

嬉しくて泣きたいほどでした。それからは毎日放課後に一緒に勉強しました。彼のノートは相変わらずちょっとクセのある優しい字でした。

 

そしてお互い希望の大学に合格。それぞれ他県の大学に進学したため遠距離恋愛が辛く別れました。

 

今はもう社会人となり、私は職場で出会った人との結婚が決まっています。
ですが時々、彼のクセのある字をふと思い出すのです。

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