−fraise−

fraiseはフランス語で「いちご」。いちごケーキのような甘酸っぱい恋愛話で至福のひとときを。

中学生時の優しい彼の思い出

      2016/11/08

現在は見る影もない35歳の兼業主婦ですが、中学生の頃はそれなりに青春をしていました。

私の実家はなぜか、私を女の子らしく育てることに否定的でした。

髪を伸ばしたり、華やかな格好をすることを禁じられ、例えばノートなどでもピンクのものは買えませんでした。両親はたぶん、屈強な男の子が欲しかったのだろうと思います。何かにつけて、自分の女性性に自信が持てない部分を持っていました。

 

ですが中学校に入学し、毎日スカートの制服で通学していると、「自分は男の子ではない」という認識が少しずつ出て来るようになります。また、私には何故か常にそばにいてくれる男子の存在がありました。

振り返ればいつもすぐ傍らにいる、何らかのジョークやフォローを欠かさずに入れてくれる、そんな気遣いの雰囲気すら持った、不思議な子でした。たまたま席が近いから・苦手な英語の授業の時に私に聞けるから、だから傍にいるだけかなあと最初は思っていました。

ですがしだいに他の場合…例えば掃除や課外活動などでも、さりげなく私のそばにいることが多い、という事に気が付いたのです。

彼の気配は静かで、気を乱さない感じでしたから、私は黙認していました。何となく好意のようなものを感じてはいましたが、特にアプローチもないまま日々が過ぎて行ったのです。

秋口に遠足がありました。地元では結構有名な、自然がいっぱいの山にのぼるものです。

ごろごろとした石が多くて足元が悪かったのですが、そうして何度かつまづきかけた時にも必ず、「おっ 大丈夫?」とひじをがっしりつかまえて抑えてくれる手があったのです。

彼でした。

どこへ行っても、こんな風に私を女の子扱いして気遣ってくれる存在は今までにありませんでした。私は他の女の子と同じじゃない、粗雑に扱われて当たり前だったのに、はっきりとした彼の気づかい・優しさが感じられて、思わず涙がこぼれそうになってしまったのです。

彼と付き合ってみたい、と本心から思うようになりました。

それは淡い恋心の発生だったと思うのですが、それと同時に遠足の様子を見ていたクラスメイト達が、遠巻きに私たちをからかうようになったのです。「あんたらお似合いじゃん」等。

それを恥ずかしがってか、彼はやや疎遠な態度を見せるようになり、年末に家族の都合で他県へ引っ越していってしまったのです。

 

何の告知もなかったために、年明けの新学期で私は、泣きたくなるのを再び我慢しなければなりませんでした。ほろ苦い思い出です。

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